三宅島大学誌

2011〜2013年度にかけて実施した「三宅島大学」プロジェクトをふり返ります。

キッズリサーチ:はじまり

2012年8月17日(金)

今年も、プログラム監修などで「三宅島大学」プロジェクト(http://miyakejima-university.jp/)に関わることになった。昨年度からはじまった、東京都と東京文化発信プロジェクト室と三宅村による共同プロジェクトである。

18日(土)から、三宅村の小中学生を対象とする「キッズリサーチ」というプログラムがはじまるので、その準備のために、今朝、学生たちとともに三宅島にやって来た。三宅島は、これで9回目。海はとても穏やかで、ほとんど揺れを感じなかった。朝から晴れているが、とても蒸し暑い。

「キッズリサーチ」という言い方は、ややわかりづらいかもしれないが、これは、キッズ(を)リサーチする活動であり、同時にキッズ(が)リサーチする活動でもある。「三宅島大学」は、誰もが教員、誰もが学生となって、お互いに学び合う〈場〉としてデザインされている。だから、ぼくたちが三宅島の子供たちを知ろうとすること自体が、学びの機会になる。そして、子供たちが、じぶんたちの暮らす島のことをあらためて考え、表現する楽しさに気づいてくれれば、いろいろなイメージやアイデアが「見える」ようになるはずだ。つまり、今回の「リサーチ」は、子供たちとのやりとりをつうじて(子供たちの目線を借りながら)、三宅島のことを知ろうという試みなのである。

もちろん、大学生が「講師」となって、三宅村の子供たちの勉強を手伝うという側面もある。ぼくたちにできることはかぎられているが、とにかくあたらしい出会いを大切にしたい。

f:id:who-me:20200820070123j:plain

ここが「寺子屋」になります。

 

「三宅島大学」の案内を載せた『三宅島大学通信』では、このプログラムを以下のように紹介している:

 (1) 学ぶことは楽しい:勉強を習慣づける

まず、日頃から、勉強を習慣づけることが重要だ。学校の教科をきちんとできるようにすること。そのためには、規則的に学ぶ「癖」をつける、そのきっかけを提供したい。また、一人ではなく、友だちと一緒に勉強することも楽しい経験になる。

(2) 世界は広い:外とのつながりを意識する

そして、じぶんをとりまく「世界」の大きさを実感することも大切だ。学校の勉強だけではなく、ごく身近なところに学ぶきっかけがたくさんあること、そして、それらが海を越えてさらに大きな「世界」へとつながっていることを感じる〈場〉をつくる。

明日から26日(日)まで、午前中は、3〜4名の講師たちの指導のもと、「寺子屋方式」で学校の勉強(夏休みの宿題?)を中心にすすめることになる。そして午後は、写真、ムービー、イラストなど、いくつかの媒体でじぶんを表現する楽しさを学ぶプログラムを提供する。

今年からは「三宅島大学」の拠点ができたので、だいぶ動きやすくなった。立派な看板もあるし、壁一面の黒板もある。「事前申込」が必要ない講座なので、何人の子供たちに会えるのか、じつは明日にならないとわからない。少しだけだと寂しいし、たくさん来たらうまくまとめられるかどうか…。

f:id:who-me:20200820070140j:plain

 

「三宅島大学」の拠点である「御蔵島会館」に着いて、数時間仮眠したあとは、みんなでラジオ体操。ぼくたちも規則的な生活を送り、子供のころを思い出して、少しでも「夏休み」のマインドを取り戻すのだ。

そのあとは、スケジュールの確認をして、デジカメの充電とか名札の印刷とか、明日の準備をすすめた。一段落したので、みんなで錆が浜へ。暑くて、少し歩いただけで汗だくになったが、砂浜に座っていると涼しい風が流れた。空も雲も、ここで見るとスケールが全然ちがう。おなじ30℃でも、アスファルトの照り返しではなく、黒い砂浜の熱だ。

そして、自炊タイム。昨年から、みんなで食事をつくり、おなじテーブルを囲む機会が増えてきた。ご飯が炊けるにおいと、カレーのにおいが漂いはじめた。明日はどうなるのか。ちょっと不安だけど

◎この日誌は2012年8月17日(金)にFacebookの「ノート」に書いたものです。(原文のまま)